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投稿者:賀茂史女
基本情報
タイトル 南院の競べ弓
タグ *和風 *古代史 *平安時代 *大鏡 *鉛筆デッサン *藤原道長
コメント 大鏡より

帥殿の、南の院にて、人々集めて弓あそばししに、この殿渡らせ給へれば、
思ひかけずあやしと、中の関白殿おぼし驚きて、
いみじう癘応し申させ給うて、下咢におはしませど、前に立て奉りて、
まづ射させ奉らせ給ひけるに、帥殿の矢数いま二つ劣り給ひぬ。
中の関白殿、また、御前に候ふ人々も、「いまふたたび延べさせ給へ。」と申して、延べさせ給ひけるを、
やすからずおぼしなりて、「さらば、延べさせ給へ。」と仰せられて、
また射させ給ふとて、仰せらるるやう、「道長が家より、帝・后立ち給ふべきものならば、この矢当たれ。」と仰せらるるに、
同じものを、中心には当たるものかは。
次に、帥殿射給ふに、いみじう臆し給ひて、御手もわななくけにや、的のあたりにだに近く寄らず、
無辺世界を射給へるに、関白殿、色青くなりぬ。
また入道殿射給ふとて、「摂政・関白すべきものならば、この矢当たれ。」と仰せらるるに、
初めの同じやうに、的の破るばかり、同じところに射させ給ひつ。
癘応し、もてはやし聞こえさせ給ひつる興もさめて、こと苦うなりぬ。
父大臣、帥殿に、「何か射る。な射そ、な射そ。」と制し給ひて、ことさめにけり。

帥殿 藤原伊周(道隆の長男、道長の甥)
中の関白殿 藤原道隆(道長の兄)
入道殿 藤原道長
iコード i44033 掲載日 2012年 03月 22日 (木) 23時 12分 57秒
ジャンル イラスト 形式 JPG 画像サイズ 500×500
ファイルサイズ 231,842 byte

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